受託開発の事務を減らす|要件ヒアリングからスコープの確定まで
前提条件を書かなかった見積は、あとで効いてくる
システム開発の見積について、実務でくり返し指摘されていることがあります。
**前提条件と制約条件を書いていない見積は、契約の自由度が高くなりすぎる。**明記されていない部分について相手がどう解釈しても、こちらは反論できません。
そして受託開発では、この曖昧さがそのまま工数になります。
- 「当然入ると思っていた」機能の追加
- 「その環境でも動きますよね」という前提
- 「テストはそちらでやってもらえますよね」という期待
どれも、書いていなければ含まれることになります。
任せられること
1. 要件ヒアリングの整理
初回のヒアリングで聞いた内容を貼り付けると、次の形に分かれます。
- 決まっている条件
- 確認が必要な条件
- 追加費用になりそうな範囲
実際の入力例です。
9/25 L社 在庫管理システム 初回
・現状はExcel管理 担当2名
・拠点は3つ 本社と倉庫2
・「既存の販売管理と繋げたい」製品名は聞けず
・同時利用 10名くらい 「増えるかも」
・スマホ対応「あったほうがいい」
・データ移行 過去3年分「できれば」
・稼働は「来期から」来期=4月
・先方の情シスは1名 兼任
・セキュリティ要件は「社内規程がある」現物は未入手
返ってくる「確認が必要な条件」は、こうなります。
- 既存の販売管理システムの製品名・連携方式が未確認
- 同時利用者数の上限が未確定(「増えるかも」との発言のみ)
- スマートフォン対応の要否が未確定
- データ移行の対象範囲が未確定(「できれば」との発言のみ)
- 「来期から」が稼働開始か、導入完了かが未確認
- セキュリティ要件の具体的な内容が未確認(社内規程の現物が未入手)
このリストが、そのまま次回の確認事項になります。
2. スコープの線引き
進行中に「ついでにこれも」が出たとき。契約時の話とその後のやり取りを渡すと、次の3つに分かれます。
- 依頼に含まれると読める作業
- 追加になりそうな作業
- どちらか判断できない作業
3番目が実務で最も重要です。契約書にも議事録にも書いていない領域。ここを「判断できない」と記録できると、「決まっていなかった」という事実をそのまま相手に提示できます。
「含まれません」と突っぱねるより、「範囲を定めていませんでした。ここで決めさせてください」のほうが、着地しやすいと思います。
3. 受注後の段取り整理(有料)
受注した案件の内容を渡すと、着手までにやるべきことの手順が返ります。
単品¥980(税込・買い切り)/月額プラン¥2,980(税込・自動更新)の対象です。
**ただし、ガントチャートやWBSの形式では出力しません。**手順の整理です。
4. 打ち合わせ記録
定例、仕様確認、レビュー。メモを貼ると、決まったこと/持ち帰り/確認が必要な点に分かれます。
**仕様に関する打ち合わせでは、この「確認が必要な点」が効きます。**曖昧なまま合意したつもりになっている箇所が残るためです。
**録音はしません。**渡すのは自分で取ったメモです。
5. 問い合わせ・障害連絡の整理
顧客から届く障害報告は、たいてい状況と要望と感情が混ざっています。
貼り付けると、起きていると書かれている事実/相手の要望/確認しないと判断できない点に分かれます。
**「事実」ではなく「事実として書かれていること」**である点に注意してください。実際に何が起きたかは、ログを見ないと分かりません。
任せられないこと
この業種では、できないことの方が多いかもしれません。
見積金額・工数の算出
**できません。**人月、単価、バッファ。金額と工数は一切出しません。
設計・実装
**できません。**基本設計、詳細設計、コードの生成。マカセルンは12種類の仕事しか行いません。
仕様書・設計書の作成
**できません。**整理された内容は返りますが、仕様書という成果物の形式では出力しません。
コードレビュー・技術的な判断
**行いません。**アーキテクチャの選定、技術的な実現可能性の判断は、エンジニアが行ってください。
PDF・Excelの仕様書・RFPの読み取り
**できません。**先方から届くRFPがPDFやExcelの場合、**読み取れません。**内容をテキストでコピーすれば渡せます。
課題管理システム・リポジトリとの連携
**できません。**Jira、Redmine、GitHub等への入力・参照は行いません。外部サービスを一切操作しません。
契約上の判断
**行いません。**瑕疵担保責任、検収条件、契約不適合の判断は、法務または有資格者が行ってください。
分かれ目の整理
| 業務 | 任せられるか |
|---|---|
| 要件ヒアリングの整理 | ○ |
| スコープの線引き | ○ |
| 受注後の段取り整理 | ○(有料・形式は手順) |
| 打ち合わせ記録 | ○ |
| 障害連絡・問い合わせの整理 | ○(事実の切り分けまで) |
| 見積金額・工数の算出 | × |
| 設計・実装・コード生成 | × |
| 仕様書・設計書の作成 | × |
| 技術的な実現可能性の判断 | × |
| PDF・ExcelのRFP読み取り | × |
| Jira・Redmine・GitHub連携 | × |
| 契約上の判断 | × |
情報の取り扱いについて
受託開発では、顧客の業務内容、システム構成、場合によっては認証情報に触れます。
入力内容はAIモデル提供元のAPIへ送信されます。
とくに次は絶対に入力しないでください。
- 接続情報、認証情報、APIキー、パスワード
- 顧客の本番データ
- セキュリティ設計の詳細
そして、多くの受託開発では秘密保持契約が結ばれています。「第三者に開示しない」「外部サービスへの登録を禁じる」といった条項が、AIサービスへの入力に該当するかは契約の文言によります。
判断がつかない場合は、法務に確認してください。
実務的な対策として、顧客名を「L社」、製品名を「既存の販売管理システム」に置き換えることができます。整理の結果はほとんど変わります。
詳しくはマカセルンに会社の情報を入れてよいかをご覧ください。
出力は必ず人が確認してください
とくに**「決まっている条件」の欄**です。
ヒアリングでは「たぶん大丈夫です」「おそらく問題ありません」という発言が多く出ます。これらが確定条件として分類されると、見積と設計の前提が狂います。
そして、**確定と未確定の取り違えは、後工程で発覚します。**その時点では手戻りのコストが大きくなっています。
導入について
**設定も連携も不要です。**既存の開発環境・課題管理システムに影響しません。
まず、次回の要件ヒアリングの後に1件試してみてください。前提の洗い出しに普段かけている時間を測っておいてください。
業務に合わせた形を組みたい場合は法人向けの窓口があります。**無料のAI業務診断で、できない業務はその場でお伝えします。**設計・実装・工数見積は、診断でもお断りします。
よくある質問
Q. 工数を見積もってもらえますか。
A. **できません。**人月・工数・金額は一切出しません。
Q. 設計書を作れますか。
A. **作れません。**成果物の形式では出力しません。
Q. コードを書けますか。
A. **書けません。**12種類の仕事に含まれていません。
Q. RFPのPDFを読み込めますか。
A. **できません。**テキストとしてコピーすれば渡せます。
Q. Jiraと連携できますか。
A. **できません。**外部サービスとの連携機能はありません。
Q. NDAがある案件で使えますか。
A. **契約の文言によります。**判断がつかない場合は法務に確認してください。顧客名や製品名を置き換えて渡すことはできます。
Q. 無料ですか。
A. 要件ヒアリングの整理、スコープの線引き、打ち合わせ記録、問い合わせの整理は**無料7機能に含まれます。**受注後の段取り整理のみ有料(単品¥980/月額¥2,980)です。
まとめ
- 前提条件を書いていない見積は、書いていない部分がすべて「含まれる」と解釈されます
- 任せられるのは、要件ヒアリングの整理/スコープの線引き/打ち合わせ記録/障害連絡の整理、および有料の受注後の段取り整理
- スコープは3つに分かれます。3番目の「判断できない」が、実際に揉める箇所です
- 見積金額・工数の算出はできません
- 設計・実装・コード生成・仕様書の作成もできません
- PDF・ExcelのRFPは読み取れません
- Jira・Redmine・GitHubとの連携はありません
- 接続情報・認証情報・本番データは絶対に入力しないでください
- NDAがある案件では、契約の文言を確認してください
- 技術的判断と契約上の判断は、エンジニアと法務が行ってください
受託開発で任せられる仕事は、下のリンクから具体的に確認できます。
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