製造業の事務を減らす|見積の前提と、不具合連絡の一次整理
引き合いが来てから、見積を出すまで
中小の製造業では、引き合いへの対応がそのまま事務負担になります。
客先から「こういうものを作れますか」という問い合わせが来る。図面や仕様が添付されていることもあれば、電話や口頭で条件が断片的に伝わるだけのこともあります。
そして見積を出した後、こう言われます。
「この数量なら単価が変わると思っていました」 「表面処理も込みだと思っていました」 「納期はもっと短くできると聞いていました」
条件が固まらないまま金額だけ出した結果です。
任せられること
1. 引き合い内容の前提整理
聞いた内容を貼り付けると、次の形に分かれます。
- 決まっている条件
- 確認が必要な条件
- 追加費用になりそうな範囲
実際の入力例です。
9/25 M社 引き合い 電話
・部品の試作 まず10個
・「量産になれば月500くらい」時期は未定
・材質はSUS304と言っていた
・表面処理「必要かも」具体的な指定なし
・図面は後日送ると
・納期「急ぎで」具体的な日付は出ず
・検査成績書が必要かは聞けていない
・支払条件は既存と同じでいいかと聞かれた
返ってくる「確認が必要な条件」はこうなります。
- 量産移行の時期・確度が未確定(「なれば」との発言のみ)
- 表面処理の要否と種類が未確認
- 納期の具体的な希望日が未確認
- 検査成績書の要否が未確認
- 支払条件が「既存と同じ」の内容が未確認
- 図面が未入手
このリストが、そのまま折り返しの電話で聞く内容になります。
2. 客先からの不具合連絡の一次整理
「先日納品いただいた部品ですが」から始まる連絡は、事実と要望と感情が混ざっていることが多いと思います。
貼り付けると、起きていると書かれている事実/相手が求めていること/確認しないと判断できない点に分かれます。
**この段階では、非がどちらにあるかは判断しません。**ロット番号、検査記録、出荷記録を確認しないと分からないためです。
**事実確認の前に謝罪すると、責任を認めたと解釈されます。**受付の連絡だけ先に出し、裏で確認を進めてください。
詳しくはクレームの事実と要望を切り分けてから動くをご覧ください。
3. 現場・生産の打ち合わせ記録
生産会議、改善活動、客先との仕様確認。メモを貼ると、決まったこと/持ち帰り/確認が必要な点に分かれます。
録音はしません。
4. 客先への報告文
納期変更、出荷連絡、仕様変更の確認。状況をメモで渡すと文面が返ります。
**送信はしません。**確認して自分で送ります。
5. 経費・立替の整理
工具、消耗品、出張費。走り書きを項目別の一覧にできます。
任せられないこと
製造業には、マカセルンが対応できない領域が多くあります。
原価計算・見積金額の算出
**できません。**材料費、加工費、段取り費、歩留まり。金額は一切出しません。
図面の読み取り
**できません。**PDF・CAD・画像、いずれの図面も読み取れません。
**これは製造業では大きな制約です。**引き合いの中心にあるのが図面だからです。
材質・加工方法の判断
行いません。「この形状ならこの加工法が適切」といった技術的判断はしません。技術者が判断してください。
品質判定・不良原因の特定
**できません。**検査データからの合否判定も、不良の原因特定も行いません。
検査成績書・品質記録の作成
**できません。**様式が定められた品質記録には対応していません。
生産管理システム・CADとの連携
**できません。**外部システムを一切操作しません。
Excel・PDFの仕様書・注文書の読み取り
**できません。**客先から届く注文書がPDFの場合、**読み取れません。**テキストでコピーすれば渡せます。
在庫・納期の照会
**できません。**社内システムを参照しません。
分かれ目の整理
| 業務 | 任せられるか |
|---|---|
| 引き合い内容の前提整理 | ○ |
| 不具合連絡の一次整理 | ○(事実の切り分けまで) |
| 生産・改善会議の記録 | ○ |
| 客先への報告文 | ○(送信はしない) |
| 経費・立替の整理 | ○ |
| 原価計算・見積金額 | × |
| 図面の読み取り | × |
| 材質・加工方法の判断 | × |
| 品質判定・不良原因の特定 | × |
| 検査成績書・品質記録 | × |
| 生産管理システム・CAD連携 | × |
| PDF・Excelの注文書 | × |
| 在庫・納期の照会 | × |
情報の取り扱いについて
製造業では、客先の製品情報、図面の内容、加工条件、単価を扱います。これらは取引先の機密情報である場合がほとんどです。
入力内容はAIモデル提供元のAPIへ送信されます。
**多くの取引では秘密保持契約が結ばれています。**図面や仕様に関する情報を外部サービスに入力することが、その条項に該当するかは契約の文言によります。判断がつかない場合は確認してください。
実務的な対策です。
- 客先名を「M社」に置き換える
- 製品名・品番を「部品A」に置き換える
- 図面の内容そのものは入力しない
- 単価・原価は、整理に必要なければ渡さない
置き換えても前提整理の結果はほとんど変わります。
出力は必ず人が確認してください
とくに次の2点です。
**「決まっている条件」の欄。**引き合いの電話では「たぶん」「だいたい」が多く出ます。これらが確定条件になると、見積の前提が狂います。
**数量・材質・納期の記述。**数字と固有名詞は、誤っていても文章として自然に読めます。元のメモと突き合わせてください。
導入について
**設定も連携も不要です。**既存の生産管理システムに影響しません。
まず、次の引き合いが来たときに1件試してみてください。折り返しで確認すべき項目が、何分で洗い出せるかを測っておいてください。
法人向けの窓口では業務の洗い出しから相談できます。**無料のAI業務診断で、できない業務はその場でお伝えします。**図面の読み取りと原価計算は、診断でもお断りする内容です。
よくある質問
Q. 図面から見積を作れますか。
A. **できません。**図面は読み取れず、金額も出しません。
Q. 原価計算をしてもらえますか。
A. できません。
Q. 加工方法を提案してもらえますか。
A. **できません。**技術的判断は行いません。
Q. 不良の原因を特定してもらえますか。
A. **できません。**検査データの判定も原因特定も行いません。
Q. 注文書のPDFを読み込めますか。
A. **できません。**テキストでコピーすれば渡せます。
Q. 生産管理システムと連携できますか。
A. できません。
Q. 客先の図面情報を入力してよいですか。
A. **秘密保持契約の文言によります。**判断がつかない場合は確認してください。図面の内容そのものは入力しないことをおすすめします。
Q. 無料ですか。
A. 引き合いの前提整理、不具合連絡の整理、会議記録、報告文、経費整理はすべて無料7機能に含まれます。
まとめ
- 揉める原因は、条件が固まらないまま金額だけ出したこと
- 任せられるのは、引き合いの前提整理/不具合連絡の一次整理/会議記録/報告文/経費整理
- 原価計算と見積金額の算出はできません
- **図面は読み取れません。**これは製造業では大きな制約です
- 材質・加工方法の判断、品質判定、不良原因の特定は行いません
- 検査成績書などの品質記録は作成できません
- 生産管理システム・CADとの連携はありません
- PDF・Excelの注文書は読み取れません
- 客先名・品番は置き換えて渡せます。図面の内容は入力しないでください
- 秘密保持契約の条項を確認してください
製造現場の事務のうち、どこまでが対象になるかは下のリンクからご確認いただけます。
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