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ヒアリングした要望と条件を分けて持ち帰る

「聞いてきました」が社内で機能しない理由

お客様のところで1時間話を聞いて、社内に持ち帰る。そして設計や制作の担当者に渡すと、こう返ってきます。

「で、結局どうすればいいんですか」

聞いた内容は確かに伝えています。それでも伝わらない。原因は、要望と条件が混ざったまま渡しているからです。

たとえばこういう報告です。

「なるべく早くほしいそうです。予算もあまりないみたいで。既存のシステムとも繋げたいと言っていて、あと管理画面は現場の人が使うので簡単にしてほしいと」

この中には、性質の違う3種類の情報が混ざっています。


聞いた話は3種類に分かれる

1. 要望(相手が望んでいること)

「管理画面を簡単にしてほしい」「早くほしい」

**これは相手の希望です。**実現できるかどうかは別の話で、優先順位をつけられる対象です。

2. 条件(動かせない前提)

「現場の人が使う」「既存システムと繋げる必要がある」

**これは制約です。**希望ではなく、満たさなければ成立しない条件です。要望と違い、優先順位で落とせません。

3. 確認が必要な点(曖昧なまま残っていること)

「予算もあまりない」「なるべく早く」

これは数字が決まっていない状態です。「あまりない」が100万なのか500万なのかで、提案がまったく変わります。


なぜ分けると伝わるのか

社内の担当者が知りたいのは、順番に次のことです。

  1. 何を満たさなければならないか(条件)
  2. 何を優先すべきか(要望)
  3. 何がまだ決まっていないか(確認事項)

この順番で渡されると、担当者は**すぐに作業を始められます。**混ざったまま渡されると、担当者はまずこの仕分けを自分で行う必要があります。

**つまり、仕分けを誰がやるかの問題です。**聞いた本人がやれば1回で済みますが、渡された側がやると、聞いていない人が推測で仕分けることになります。


実際のメモと、整理後の形

ヒアリング中のメモ(この程度で十分です)

9/25 C社 初回ヒアリング 田中様(現場責任者)

・今使ってる管理ツールが古い 入力に時間かかる
・現場のパートさんも使う PCに詳しくない人が多い
・スマホからも見たい(現場で)
・既存の在庫システムとデータ連携したい
・「なるべく早く」→ 繁忙期が2月なので それまでに
・予算「あまり出せない」具体額は出ず
・導入時に現場への説明会が必要と言っていた
・決裁は社長 田中様が上げる形

マカセルンで整理すると

マカセルン powered by AXIOM の「見積の前提整理」に貼り付けると、次の形に分かれて返ってきます。

決まっている条件

  • 現場のパート従業員も利用する。PC操作に不慣れな利用者を想定する必要がある
  • スマートフォンからの閲覧が必要(現場での利用)
  • 既存の在庫システムとのデータ連携が必要
  • 導入時に現場向けの説明会が必要
  • 繁忙期は2月。それまでの導入が求められている

確認が必要な条件

  • 予算の具体的な金額(「あまり出せない」との発言のみで、金額は未確認)
  • 「2月まで」が稼働開始なのか、導入完了なのかが未確認
  • 既存の在庫システムの種類・連携方式が未確認
  • 説明会の規模(対象人数・回数)が未確認

追加費用になりそうな範囲

  • 既存の在庫システムとのデータ連携
  • 現場向け説明会の実施

ここで注目していただきたい点

「なるべく早く」が消えています。

代わりに「繁忙期は2月。それまでの導入が求められている」という形になっています。これはメモに書かれていた事実です。

そして**「2月まで」が稼働開始か導入完了かは未確認**として挙がっています。この違いは、スケジュールを組むうえで決定的です。稼働開始が2月なら、開発は12月に終わっている必要があります。

この1行が、次の連絡の内容になります。


「確認が必要な条件」が最も価値のある欄

多くの人は「決まっている条件」だけを見ます。しかし実務で効くのは**「確認が必要な条件」のほうです。**

理由は単純で、そこに書かれていることが、後で揉める箇所だからです。

  • 予算が未確認 → 提案してから「高い」と言われる
  • 期限の定義が未確認 → 「間に合わなかった」と言われる
  • 連携方式が未確認 → 見積後に工数が倍になる

**ヒアリングの直後にこのリストがあれば、その日のうちに確認のメールを送れます。**1週間後に提案を作り始めてから気づくのとは、回復にかかるコストが違います。


マカセルンは書かれていないことを補いません

上の例で、**予算の金額は出力されません。**メモに「あまり出せない」としか書いていないためです。

一般的なAIに同じメモを渡すと、「予算は限られている想定」といった表現で埋められることがあります。文章としては自然ですが、それは推測です。

マカセルンは、書かれていない部分を「確認が必要な条件」として残します。空欄が残るほうが見栄えは悪いですが、推測が事実として社内に流れるよりは安全です。

社内の担当者は、整理された文書を読んで作業を始めます。そこに「予算は限られている」と書いてあれば、それが誰の言葉かを確認せずに前提にします。


よくある失敗

失敗1:要望を条件として持ち帰る

「管理画面を簡単に」は要望です。これを条件として扱うと、優先順位を落とせなくなります。

一方「現場のパートが使う」は条件です。これは落とせません。

この2つを混同すると、削れるものが削れなくなります。

失敗2:相手の言葉をそのまま使う

「なるべく早く」「あまり出せない」「使いやすく」。

**これらは社内で共有できる情報ではありません。**数字か、判断できる基準に変換する必要があります。変換できないものは「未確認」として残します。

失敗3:聞いた直後に整理しない

ヒアリングから3日経つと、細部が失われます。「確認が必要な点」を洗い出せるのは、記憶が残っているうちだけです。

失敗4:複数の案件を混ぜて渡す

1日に2社ヒアリングした場合、**分けて整理してください。**条件が入れ替わると、提案そのものが狂います。

失敗5:「確認が必要」で止まる

洗い出して終わりでは意味がありません。**その日のうちに確認の連絡を出してください。**リストがあれば、メールを書くのは数分です。


向いているケース・向いていないケース

向いている

  • 初回訪問・電話で要望を聞き、社内に持ち帰る立場
  • 聞いた内容を設計・制作の担当者へ渡す必要がある
  • 提案や見積を出す前の段階
  • 後から「そんなつもりではなかった」と言われた経験がある
  • 1日に複数社を回る

向いていない

  • 提案内容そのものを作ってほしい(提案書は作りません)
  • 金額や相場を出してほしい(金額は出しません)
  • 相手が言っていないことを推測してほしい(推測しません)
  • ヒアリング中にメモを取る余裕がない

注意していただきたいこと

出力の確認

「決まっている条件」の欄を、元のメモと突き合わせてください。

ヒアリングでは「できれば」「理想を言えば」といった前置きの付いた発言が多く出ます。これらが条件として分類される可能性があります。条件と要望の取り違えは、後の工程に影響します。

確認すべき点はAIの出力をそのまま使ってよいか|送る前に確認すべき5点に整理しています。

顧客情報の扱い

ヒアリングメモには、相手の社名・担当者名・業務内容が含まれます。入力内容はAIモデル提供元のAPIへ送信されます。

社名を「C社」、担当者を「現場責任者」に置き換えても、**整理の結果はほとんど変わります。**置き換えて渡し、出力後に戻すのが安全です。

見積書は作りません

マカセルンが整えるのは前提です。見積書という書類そのものは作りません。金額も出しません。相場の判断もできません。


よくある質問

Q. 提案書まで作れますか。

A. **作れません。**整理するのは聞いた内容であり、提案の中身は人が考えるものです。

Q. 金額を出してもらえますか。

A. **出せません。**相場の判断も行いません。出るのは「追加費用になりそうな範囲」という項目までで、金額そのものは出ません。

Q. 要望と条件の区別は、どこまで正確ですか。

A. メモの書き方に依存します。「できれば」「必須で」といった言葉が入っていれば区別されやすくなります。**出力を確認してください。**取り違えは起こり得ます。

Q. ヒアリングシートを作ってもらえますか。

A. **作りません。**マカセルンが扱うのは、聞いた後のメモです。

Q. 無料ですか。

A. 見積の前提整理は無料7機能の1つです。アカウント登録もカード情報も不要で、回数制限もありません。

Q. 聞いた内容から見積の前提を洗い出したいのですが。

A. この記事と同じ機能を使いますが、見積を出す直前の観点は見積を出す前に、前提の抜けを洗い出すに分けて書いています。

Q. 作業範囲の線引きにも使えますか。

A. 使えます。範囲の確定は作業範囲の線引きを、口頭で終わらせないをご覧ください。


まとめ

  • 社内で伝わらない原因は、要望と条件が混ざっていること
  • 聞いた話は3種類。①要望(落とせる) ②条件(落とせない) ③確認が必要な点(数字が未確定)
  • **仕分けは聞いた本人がやる。**渡された側がやると、聞いていない人が推測で仕分けることになります
  • 最も価値があるのは**「確認が必要な条件」の欄**。後で揉める箇所がそこに集まります
  • **「なるべく早く」「あまり出せない」は情報ではありません。**数字に変換するか、未確認として残します
  • マカセルンは**書かれていないことを補いません。**推測が社内で事実として流れるのを防ぎます
  • 洗い出したら、その日のうちに確認の連絡を出してください
  • 見積書・提案書・金額は出しません
  • 無料・登録不要

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