広告・制作会社の「ついでに」対応|修正回数と範囲の線引き
利益を削るのは、大きな追加ではない
制作の仕事で利益が消える原因は、大きな追加依頼ではありません。
大きな追加なら、誰でも見積を出します。問題は小さいほうです。
- 「色だけ変えてもらえますか」
- 「この文言、1行だけ直したくて」
- 「スマホで見たときの見え方、少し調整を」
- 「別サイズも1つだけ書き出してもらえますか」
**どれも断るほどではありません。**そして1回30分の作業を10回引き受けると、5時間です。
そのとき、**追加を引き受けた記録がどこにも残っていません。**だから「なぜ赤字なのか」を説明できません。
範囲は3つに分かれる
契約時の話と、その後に出てきた依頼を両方渡すと、次の3つに分かれて返ってきます。
- 依頼に含まれると読める作業
- 追加になりそうな作業
- どちらか判断できない作業
入力例
P社 Webサイト制作 進行中
契約時:
・トップ+下層5ページ デザイン+実装
・原稿は先方支給
・写真は先方支給(素材購入が必要なら別途)
・デザイン修正2回まで
その後に出てきた依頼:
・「トップのメインビジュアル、3案見たい」
・「原稿、やっぱりこちらで書いてもらえませんか」
・「バナーも1点お願いできますか」
・「スマホで崩れているので直してほしい」
・「公開後も簡単な修正はお願いできる想定でした」
・修正はすでに3回目に入っている
返ってくるもの
依頼に含まれると読める作業
- トップページおよび下層5ページのデザインと実装
- スマートフォン表示の不具合修正(実装の範囲内と読める)
追加になりそうな作業
- メインビジュアル3案の提示(契約時に案数の記載なし)
- 原稿の作成(契約時は先方支給とされている)
- バナーの制作(契約範囲に記載なし)
- 3回目以降の修正(契約は2回まで)
どちらか判断できない作業
- 公開後の修正対応(契約時に公開後の扱いの記載がなく、「簡単な修正」の範囲も未定義)
「判断できない」欄が効く理由
2択で仕分けようとすると、**曖昧なものを無理にどちらかに入れてしまいます。**そして揉めたくないので「含まれる」側に倒します。
3つ目の欄があると、「決まっていなかった」という事実をそのまま提示できます。
公開後の修正対応について、契約時に範囲を定めておりませんでした。 公開後○か月間、○時間までを含む形でいかがでしょうか。
「含まれません」と突っぱねるより、着地しやすいと思います。
そして「3回目以降の修正」のように明確に契約を超えている項目は、追加として提示できます。判断できない項目と、明確に超えている項目が分かれていることに意味があります。
断るためではなく、決めるために使う
整理した結果の使い方は3つです。
| 判定 | 取る行動 |
|---|---|
| 含まれる | そのまま対応する |
| 追加になりそう | 追加として見積を出す、または「今回はサービスで」と明示して引き受ける |
| 判断できない | 相手に確認し、いま決める |
**「今回はサービスで対応します」と明示して引き受けるのは、有効な選択です。**黙って引き受けるのと違い、次に同じ依頼が来たときに「前回はサービスでした」と言えます。
他に任せられること
1. 見積前の前提整理
案件が始まる前に、聞いた内容から決まっている条件/確認が必要な条件/追加費用になりそうな範囲を洗い出せます。
制作では、ここで「修正回数」「案数」「原稿の支給有無」を確定させておくと、後の揉め事がかなり減ります。
2. 打ち合わせ記録
オリエン、定例、レビュー。メモを貼ると、決まったこと/持ち帰り/確認が必要な点に分かれます。
「確認が必要な点」に、決まっていない仕様が残ります。
3. クライアントへの連絡文
進捗報告、確認依頼、スケジュール変更の連絡。状況をメモで渡すと文面が返ります。送信はしません。
4. 経費・外注費の整理
素材購入、フォントライセンス、外注への支払い。走り書きを項目別に整理できます。
任せられないこと
制作会社にとって、ここは重要です。
デザイン・画像の生成
**できません。**マカセルンは画像を生成しません。バナー、ロゴ、イラスト、写真の加工、いずれも行いません。
コピー・キャッチコピーの制作
**マカセルンの12種類に、広告コピーの制作は含まれていません。**文章の整形・要約は行いますが、広告表現としてのコピーライティングは対象外です。
原稿の執筆
**できません。**渡された内容を整えるだけで、新たに原稿を書き起こすことはしません。
コーディング・実装
**できません。**HTML、CSS、JavaScriptの生成は行いません。
制作物の品質判定
**できません。**デザインの良し悪しを評価しません。
見積金額・工数の算出
**できません。**金額は一切出しません。
契約上の判断
**行いません。**著作権の帰属、二次利用の可否、契約不適合の判断は、法務または有資格者が行ってください。
PDF・Excel・デザインファイルの読み取り
**できません。**クライアントから届く資料がPDFの場合、読み取れません。
制作管理ツールとの連携
**できません。**Backlog、Asana、Figma等への入力・参照は行いません。
分かれ目の整理
| 業務 | 任せられるか |
|---|---|
| 作業範囲の線引き | ○ |
| 見積前の前提整理 | ○ |
| 打ち合わせ記録 | ○ |
| クライアントへの連絡文 | ○(送信はしない) |
| 経費・外注費の整理 | ○ |
| デザイン・画像の生成 | × |
| コピーライティング | × |
| 原稿の執筆 | × |
| コーディング・実装 | × |
| 制作物の品質判定 | × |
| 見積金額・工数の算出 | × |
| 著作権・契約上の判断 | × |
| PDF・デザインファイルの読み取り | × |
| 制作管理ツール連携 | × |
情報の取り扱いについて
制作では、クライアントの未公開情報を扱います。新商品、キャンペーン内容、公開前のサイト構成。
入力内容はAIモデル提供元のAPIへ送信されます。
**多くの制作案件では秘密保持契約が結ばれています。**未公開の企画内容を外部サービスに入力することが条項に該当するかは、契約の文言によります。
実務的な対策です。
- クライアント名を「P社」に置き換える
- 商品名・キャンペーン名を「商品A」に置き換える
- 未公開の企画内容そのものは入力しない(範囲の整理には不要です)
範囲の線引きには、企画の中身は必要ありません。「何を作るか」の粒度で足ります。
出力は必ず人が確認してください
とくに**「含まれると読める作業」の欄**です。
ここに誤って入った項目は、**本来請求できたはずの作業を無償で引き受けることにつながります。**契約書・見積書と突き合わせてください。
そして、クライアントへ送る文面の**「約束の表現」**を確認してください。「来週中に初稿をお出しします」が確定していない場合、それは新たな約束になります。
よくある質問
Q. デザインを作ってもらえますか。
A. **できません。**画像生成機能はありません。
Q. キャッチコピーを作れますか。
A. **12種類に含まれていません。**文章の整形は行いますが、広告表現の制作は対象外です。
Q. 原稿を書いてもらえますか。
A. **書き起こしはできません。**渡された内容を整えるだけです。
Q. コーディングできますか。
A. できません。
Q. 追加分の金額を出せますか。
A. **できません。**金額は一切出しません。
Q. 著作権の帰属を判断してもらえますか。
A. **できません。**法務または有資格者にご確認ください。
Q. Figmaと連携できますか。
A. できません。
Q. 無料ですか。
A. 範囲の線引き、前提整理、打ち合わせ記録、連絡文、経費整理はすべて無料7機能に含まれます。
まとめ
- 利益を削るのは大きな追加ではなく、記録されない小さな追加の積み重ね
- 範囲は3つに分かれます。含まれる/追加になりそう/どちらか判断できない
- 3番目の欄があると、「決まっていなかった」をそのまま提示できます
- **「今回はサービスで」と明示して引き受けるのは有効です。**黙って引き受けるのとは違います
- 見積前に修正回数・案数・原稿の支給有無を確定させておくと、揉め事が減ります
- デザイン・画像生成、コピーライティング、原稿執筆、コーディングはできません
- 金額の算出も、著作権や契約の判断もしません
- PDF・デザインファイルは読み取れません。制作管理ツール連携もありません
- クライアント名・商品名は**置き換えて渡せます。**範囲の整理に企画の中身は不要です
- 秘密保持契約の条項を確認してください
制作進行のうち、どこまでが対象になるかは下のリンクからご確認いただけます。
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